奈良県の空き家問題は、全国的な傾向と同様に深刻化しており、特有の背景も抱えています。
現状
- 高い空き家率: 総務省の「住宅・土地統計調査」によると、奈良県の空き家率は全国的に見ても高い水準にあります。
- 平成30年調査: 空き家数は約13万戸、空き家率は**19.4%**で、全国で4番目に高い数値でした。
- 令和5年速報値: 空き家数は約13万5千戸に増加し、空き家率は**20.0%**に上昇しています。これは全国平均を大きく上回る数値です。
- 「その他の住宅」の割合の高さ: 居住の予定のない空き家、いわゆる放置された空き家の割合が高い傾向にあります。平成30年調査では、空き家総数のうち**57.3%が「その他の住宅」でした。令和5年調査でも11.0%**と全国平均(5.9%)を大きく上回っており、管理不全な空き家が多いことが懸念されます。
- 地域差: 県内でも空き家率には大きな地域差があり、特に人口減少が著しい山間部や過疎地域で顕著です。奈良市などの都市部でも増加傾向が見られます。
背景
奈良県の空き家問題の背景には、以下の要因が考えられます。
- 少子高齢化と人口減少: 特に県南部を中心に人口減少が深刻であり、住宅需要が低下しています。
- 相続問題: 相続したものの、利用する予定のない住宅が放置されるケースが多く見られます。特に、都市部に住む相続人が、遠方の実家を管理しきれないという問題があります。
- 住宅の老朽化: 古い住宅が多く、耐震性や断熱性の問題から改修費用が高額になるため、放置されることがあります。
- 観光地の特性: 観光地としての側面を持つ地域では、別荘やセカンドハウスとして利用されていた住宅が、利用頻度の低下とともに空き家化するケースがあります。
- 所有者の意識: 空き家の管理や活用に対する意識が低い場合があります。
空き家がもたらす問題
放置された空き家は、以下のような様々な問題を引き起こします。
- 防災上の問題: 老朽化による倒壊、部材の飛散、火災のリスクが高まります。特に地震が多い地域であるため、危険性が増します。
- 衛生上の問題: 雑草の繁茂、害虫の発生、不法投棄などにより、生活環境が悪化します。
- 景観の悪化: 歴史的な景観を持つ地域も多く、荒れた空き家は観光イメージを損なう可能性があります。
- 治安上の問題: 不法侵入や犯罪の温床となる可能性があります。
- 地域コミュニティの衰退: 空き家が増えることで、地域の活力が失われ、コミュニティの維持が困難になります。
これらを宗教法人に寄付し礼拝所となることで地域のコミュニティの一つとして活用される可能性が上がります。